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・設計:株式会社 里山建築研究所 ・写真:齋藤さだむ

人と木プロジェクト

このプロジェクトは、「自分を楽しむ家と暮らし」をコンセプトにスタートしました。
発足のきっかけは、軽井沢の撮影現場で出会った「一般社団法人 日本板倉建築協会」と、その関係者の皆様でした。

軽井沢で出会った皆様との親交を重ねるうちに、板倉建築は伊勢神宮や靖国神社など、現存する格式高い建造物に使われる木造工法のひとつであること。
森林資源を無駄なく有効的に活用できる工法であること。また、木造工法でありながら地震や火災にも強いこと。
そして何より、国産の無垢材だけを使う工法なのでハウスシックの心配がなく、高温多湿の日本の気候風土に適した工法であることなど、
従来の木造工法にはない、さまざまな特徴を知ったことで、板倉工法に大きな共感を覚えました。

本当のサスティナブルとは何だろう?

現在、多くの企業や製品には深意なく「サスティナブル」という言葉が付帯していますが、日本国内で建築される木造住宅のほとんどは
平均26年で取り壊され、建材として使用されていたプラスチック、ビニールなどの化学製品や大量の合板などはリサイクルできない建材だそうです。
こうした現状のどこが「サスティナブル」なのでしょうか?
板倉工法は、古来より森や木と密接な関係を築いてきた先人たちが、真の意味での「サスティナブル」を理解し生まれた工法です。
このプロジェクトでは、板倉建築を基に「自分を愉しむ家と暮らし」をお客様と共に丁寧につくって行くことで、
住宅と人と暮らしのサスティナブルの関係性を、いま一度見直す機会にして行きたいと思っています。

人と木プロジェクト・チーム一同

施工事例

施工事例

※現在、施工事例の公開は防犯上の観点から、中止しております。
施工事例をご覧になりたい方は、メール、電話等でお問い合わせください。

建築イメージ

森が育てた自然素材しか使わない。
快適への配慮が息づく板倉の家。

国内の戸建て住宅の中で木造住宅が占める割合は約80%。西洋の建築素材や技術が導入されて久しい今でも約80%という数字には驚きますが、これには、日本に高温多湿な四季があり、国土の約70%が森林であるということが関係しているようです。
日本の四季といえば、夏は蒸し暑く湿気が多く、冬は家の中が乾燥し寒いのが特徴ですが、板倉の家は、自然素材である木材を建材として使用することで、湿度が高い時には木材が湿度を吸収し、乾燥する冬の時期には、木材が吸収した湿気を吐き出して室内の湿度を調整し、さまざまなウイルスの活動を抑制します。
板倉の家では、豊かな森が育てた自然素材の木材を建材とすることで、住む人が四季を通して快適に暮らせる家づくりを丁寧に、正直に行っています。

女性の画像

環境先進国に学ぶ、使い捨てない家。
森と自然に還るサスティナブルな家。

環境先進国のスウェーデンやドイツで「サスティナブルな家」と呼ばれているのは、環境への高い意識と循環し長持ちする自然素材で作られた家だけだそうです。
また、環境先進国のサスティナブルな家は、平均76年以上も住み継がれるのに対し、日本の住宅の多くは平均26年ほどで取り壊されています。さらに、日本の住宅に建材として使用されるのは、プラスチックやビニールなどの化学製品をはじめ、工場で大量生産されたリサイクル不可能な建材がほとんどなので、とても「サスティナブルな家」とは呼べないのが現状です。
「人と木プロジェクト」では、高価な家が、安価な洋服や家具のように使い捨てられるのではなく、環境先進国から学び、自然素材でつくる家こそが、住む人自身の健康を担保し、新築時の性能を保ち続け、いつまでも資産価値が高い家を提供するために活動を続けています。

ここちよいひと時をつくる
板倉工法の6つの特徴

頑強な耐震性アイコン

頑強な耐震性

地震大国・日本だからこそ絶対に必要なのが耐震性です。だから、板倉工法では、従来の木造工法では実現できなかった、「しなやかに、ゆっくりと」揺れを吸収する「高耐震性」を実現。平成17年9月に国土交通大臣から、地震の揺れに対する壁の強度を表す「壁倍率」試験結果の2.2倍という高い評価の性能認定を取得しています。

快適な調湿効果アイコン

快適な調湿効果

日本の四季には高温多湿という大きな特徴がありますが、板倉工法では木材の量は、一般の木造住宅の実に3倍にもなります。木をふんだんに使うことで、室内の温度・湿度の変化が外気と比べて小さくなり、少ないエネルギーで家全体が快適で、夏も少ないエネルギーで室全体が快適な家になります。

断熱効果アイコン

断熱効果

板倉工法が使用している杉板材の内部には、導管(空気の層のようなもの)が無数にあり、この導管は10kgのグラスウール程度の断熱・蓄熱効果があることが証明されています。また、杉板材には室内湿度を適正化する調湿効果だけでなく高い断熱効果もあるので、四季を通して快適な室内環境を保つことができるナチュラルな建材でもあります。

防火構造認定アイコン

防火構造認定

厚さ30mmの杉板の片面に厚さ24mmの木押しを直交に貼ってつくられる板倉工法の外壁の総厚は54mm以上になります。万一の火災時には、この54mm以上の杉板が燃えしろとなり、平成19年5月「防火構造」の国土交通大臣認定を取得。これにより法22条区域の3階建木造戸建や耐火構成の2階建以下の住宅でも板倉構法で設計・施工する事が可能になりました。

鎮静安眠効果アイコン

鎮静安眠効果
(アロマセラピー効果)

杉には精油と呼ばれる貴重な天然のアロマ成分が含まれています。また、精油には、自律神経や免疫機能を鎮静化させる要素を含む作用鎮静効果に加え、外気換気もあるので、住む人のストレスを軽減し気持ちをリラックスさせてくれるだけでなく、早くて深い眠気を誘う効果があることも大学生理的研究で明らかになっています。

防音効果・音響効果アイコン

防音効果・音響効果

コンサートホールや音楽室の天井や壁にも使われる素材には、低い周波数域の音をバランスよく吸収する優れた特性があるので、残響時間を適正にし、音をきれいにする効果があります。また、杉材は内部密度も高く、室内の音を吸収してくれるので、隣や都市雑音や交通音に囲まれた土地でも、静かに落ち着いた室内環境が作れます。

木造床

できるだけエアコンを使わない家。
足腰への負担が少ない家。

杉の厚板で屋根、壁、床を構成する板倉工法は、断熱・調湿に優れていますので、「できるだけエアコンを使いたくない」という方におすすめの工法でもあります。湿気が多い地域でも湿気がこもらず結露しない家、冬温かく夏涼しい家を、機械的はなく、ごく自然に実現しています。また、壁、床の杉を壁紙で隠さないので、壁下地や仕上げ工事が不要で、調湿性・癒し効果のある木の良さを十分に感じることができるだけでなく、杉の柔らかさは、足腰にも負担がかかりませんので、お子様や高齢者の方へのホスピタリティーに優れた住まいとしても最適です。

キッチンの画像

一般木造住宅の3倍の量の木材が、
優れた調湿性と癒し効果を生みます。

板倉工法で使う木材の量は、一般の木造住宅の実に3倍にもなります。壁は厚さ1寸(30mm)の無垢の杉厚板を使い、落とし板倉工法でつくります。4寸角(120mm)の杉の柱に溝をほり、厚さ1寸・幅5寸程の杉板を落とし込んで板壁を作り、住宅の基本的な構造を造るものです。天然杉板の構造材がそのままで仕上げ材になり、調湿性・癒し効果のある木の良さを最大限に生かした構造です。

経年変化した家

経年劣化ではなく、
経年変化するのが自然素材の証し。

無垢の木は生きている自然素材です。だから、汚れやキズが付きやすく、割れたり、反ったりするし、合板のように品質も均一ではありません。また、色やツヤなども経年変化により、変わってきます。でもそれは、すべて自然素材である証拠でもあります。
木は、経年変化で味わいが増し、愛着が湧いてきます。たとえ傷がついても、修復することが可能な場合が多いです。 熟練した職人だから建てることができる板倉造工法の家は、構造材がそのまま化粧材となり、材料やつくりがすべて目で見て確認できる隠し事がない正直な構造です。安心・安全という住まいに必要な要素を実感するには、この正直な構造が必要だと考えています。

人と木プロジェクトに協賛いただいている企業・団体

教授の顔写真

地球環境と板倉

板倉は古くから日本の神社や倉の構法として、神様や食料、宝物、家財を守り、日本人の暮らしを支えてきました。それは、日本の豊かな森林資源を活用し、地域の気候風土に適応して、多様な構法に発達してきました。
近年、戦後の拡大造林で日本の森林資源が回復する中で、板倉建築は国産材を活用する木造技術として再び注目を集めていま す。木材の持つ優れた断熱性、調湿性、耐久性を生かし、耐震性や防火性においても現代技術による改善が加えられることで、その点でも優れた特性を持つこと が再評価されています。さらに、この板倉構法は、木材の循環的利用により地球環境の改善を図る上での有効な技術としても、新たな役割を期待されています。
このような社会情勢の中で、当協会は板倉建築の歴史、文化、技術を正しく理解し、現代建築として普及を図る上での課題に取り組み、それを広く世の中に伝え、板倉建築の文化と技術の継承と振興を図るための事業に取り組んで参ります。

社団法人 日本板倉建築協会・里山建築研究所主宰
筑波大学名誉教授 安藤 邦廣